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サボイ・トラッフル探しの続き

 前編では、
 ビートルズの通称『ホワイトアルバム』中の佳曲「サボイ・トラッフル」および
 歌詞のモデルとなったお菓子は見つかりませんでした。
 という結論に至った、ネットサーフィン旅行。
 その後も、ホソボソと懲りずに検索を続けております…。


 → 時間のない方はページ後半の「まとめ」にワープ!

 

 
<類似点を感じませんか?>

 思い込みが強いと、事実を自分の考えに引き寄せ、ねじ曲げてしまいそうになる。
 ある日ふとスーパーで目についたお菓子の箱書きに、ギューンと引き寄せられた。
 「なに、オレンジクリーム?!」。

 「サボイ・トラッフル」の歌い出しは「Creme Tangerine」。
 訳せば「クリーム・みかんの一種」である。

 さらに、こんなことが書いてある。

 クオリティーストリートは、英国生まれのオシャレなチョコレートトフィーアソートメント
 名前の由来は、「ピーターパン」の著者の演劇 "Quality Street" によるものです。1936年に誕生して以来、世界中の人々に愛され続けてきました。(後略)

 赤字のところのみに反応、
 ネスレ コンフェクショナリー株式会社(以下ネスレ社)販売の「Quality Street」を買う。
 大きい箱で千円少々、小さい箱は5百円少々。

小さい方の箱の外観
【表】 【裏書き】
(SOCIETE DES PRODUCTS NESTLE S.A.)

 裏書きの菓子名を、下に書きだして比較。
 …赤字部分が似てない? 何となく似てない? 英国生まれだし♪ と、
 雰囲気だけでそう思ってしまったのでした(笑)。

「サボイ・トラッフル」歌詞中の菓子 「Quality Street」全12種類の菓子
 クリーム・タンジェリン  オレンジクリーム
 モンテリマー   -
 ジンジャー・スリング + 
 バイナップル・ハート
  -
 カフェ・デザート   -
 サボイ・トラッフル   -
 チェリー・クリーム架空?  ストロベリークリーム
 リンゴのタルト   -
 ココナッツファッジ架空?  ファッジ


※ちなみに。

トフィー「砂糖、練乳、水飴などを煮詰めたソフトなキャンディ。おいしく焦げた味が特長」キャラメルの仲間。
ヌガー「ハチミツと卵とアーモンドを贅沢に使ったキャンディ」
(以上二つはキャドバリー・ジャパン株式会社より引用)

ファッジ「砂糖・バター・牛乳・チョコレートなどで作った柔らかいキャンデー」(「研究社『新英和辞典』第四版」より引用)
チョコレート系…と考えられるもの。または、原材料名に「カカオマス」「ココアバター」が認められたもの。

 ココナッツエクレア
 ノワゼットトライアングル
 モルトトフィー
 ミルクチョコレートヘーゼルナッツ
 ヘーゼルナッツインキャラメル
 トフィーフィンガー
 キャラメルカップ
 オレンジクランチ
 トフィーペニー

 雰囲気だけ、と書きましたが、もう一つ興味を引いた部分がある。それは、販売会社。
 前編で、エリック・クラプトンが食べたお菓子を作った会社をたどって
 「ネスレ社」にたどりついている。
 もしかして
もしかしない?

 
 
<ロントリー → マッキントッシュ → ネスレ?>

 ネットで流布している説が正しいならば、


「Good News」というチョコレート詰め合わせ
を作っていた会社は、
 吸収合併の結果、

「英国 Rowntrees(ロントリー)社 → Mackintosh(マッキントッシュ)社 → Nestle(ネスレ)社」に変わった

 ことになっている。
 ならば、最終的に「ネスレ」社がこのお菓子を引き継いで販売していても不思議はない
 「Quality Street」が「Good News」の後釜…という仮説を立ててみた。
 しかし、ネスレ社の公式サイト(日本版英国版)には、
 この「Quality Street」について詳しい情報はない(その販売会社の由来とか。当然か ^^; )。

 恥を忍んで、現在ネスレ社に問い合わせ中!

 マギー、ロレアル、ブイトーニ、ペリエ…などを抱える巨大企業ですから、
 こんな ちっちゃくてマニアックな疑問は とりあってもらえないよね(^^;)とわかっていながらも。

 
 
<本当に「Good News」?>

 「エリック・クラプトンが食べていたのは”Good News”というチョコレートアソートメント」
 …という説がネット上に非常にたくさんあるわけですが(英語サイト)…。

 本当にそういう商品名だったのでしょうか?
 というのも、「ネット上にたくさんあった」サイトのほとんどが「コピぺ」、
 つまりコピー&ペーストして張りつけたような、まったく同じ文章だから。
 いわゆる 都市伝説 みたいに、ありもしない”Good News”という商品名が
 ネット上に広まっている、という可能性もあるんじゃないか、と疑っています。

 キーワードをいろいろ変えて、丹念に、ネット上で「該当商品である」とされている
 英語の商品名を集めてみました。


・Mackintosh "Good News" assortment

・Mackintosh's Good News Double Centre Chocolate Assortment

・Mackintosh's Good News sweets


 こんなに何通りもある。どれが本当なのやら(^^;)。

 上記の商品名で検索をかけたところ、その結果の一つで
 英国の長年の歴史を年ごとに表に仕立てたサイトにヒット。

 そこには


1960年

サイトA:Products...Mackintosh's Good News sweets
 =(その年発売の「製品」)
  (c)
http://www.bradfordtimeline.freeserve.co.uk/195099.htm

または

サイトB:Highlights...Mackintosh's Good News sweets introduced.
 =(その年の「ハイライト」…マッキントッシュの「グッドニュース」が紹介された)
  (c)
http://www.fartownschool.org.uk/yearbook_1960.htm

他にも七つくらい項目はあったんだけどね。1960年は、タッパーウエアやDr.マーチンや、歯の詰め物みたいなものや新しい肥料が英国に新たに登場した年らしいよ(笑)。

 との記述あり。
         ちなみに「歴史と伝統の英国」にありがちなパターンのサイトなのか、ほぼ同内容のサイトが他にも多数。
     
    一つのお菓子の発売が、年表に入るほど重大なできごとなの?
     
    英国を代表するような、よほど伝統的なお菓子なのかしら?
     
    日本で言うと「グリコのキャラメル」くらい、知らない人のいないお菓子…??
     
    でもそこまで有名なお菓子なら、すぐに「そのもの」の情報にヒットしてもいいはずです…。
     
    しかし、いつまで検索しても「Good News」の実物にはお目にかかれない。
     
    その辺りの不透明さに、「ネット上でまことしやかに記載される『伝説』」
     
    のニオイが、しないでもない…。

 サイトBサイトAを見て作ったのでなければ…つまり、他の「もっと信用のおけるサイト」でも
 違う形式で同じ事実が確認できれば…

 「マッキントッシュ社が”Good News”を発売したのは1960年である」

 ということになります。
 マッキントッシュ社がロントリー社と合併したのは1969年なので、この説を採用すると、
 前編 <"Good News" チョコレートアソート?> を調べたときにヒットした、

 「Good News」アソートボックスは
 「Rowntrees」という会社で作られたらしい

 という説は完全に否定されるわけです。
 "Good News" が発売されたとされる1960年には、まだ
 マッキントッシュ社とロントリー社は別会社だったという調べがついているから…
 (いや、待てよ。その「合併時期の記事」自体が事実と違っている場合もあるわけか…)。

 
 
<また煮詰まりました…>

 結局ネット上では、関連会社の公式サイトで情報が見つからない限り、
 事実をつきとめるのは難しいなぁ…と堂々巡りに陥ったところで、今回の旅もストップです。
 確実な情報にヒットしたら、またはネスレ社と「サボイ・トラッフル」の関係がはっきりしたら、
 三たび更新することにしましょう…。

 まとめ


THE BEATLES ・通称『ホワイトアルバム』の曲
「Savoy Truffle」で歌われた菓子について

●2005年現在、日本のスーパーで、
 1936年に英国で生まれたというチョコ&キャンディーの詰め合わせ
 「Quality Street」という商品を発見!(事実)

●「Quality Street」の販売元は、日本では
 「ネスレ コンフェクショナリー株式会社ネスレ社)」である。(事実)

●ネット上では「サボイ・トラッフル」の歌詞の菓子を
 作って売っていたのは「マッキントッシュ社」で(噂)
 その「マッキントッシュ社」は1988年に
 「ネスレ社」の傘下に入ったとされている。(噂)

●「Quality Street」を購入したときの
 スーパーの値段表示には「ネスレ マッキントッシュ
 と印刷されていた。(事実)
 (だから目を引いて購入したんだもの。そのスーパーが間違っていないのが前提だけど。)

●しかしQuality Street」が歌詞のモデルになったという情報には
 いまのところヒットしていない

●それどころか「エリック・クラプトンが食べていた詰め合わせを
 当時作っていたとされる菓子会社」が、「ロントリー社」と
 「マッキントッシュ社」の二説に分かれてしまった…?!

  → 今のところ
   「ジョージ・ハリスンが菓子箱にヒントを得て作った」
    という逸話そのものが事実か疑わしい…?!
    ネットで世界中に広がっている都市伝説? なんちゃって(推測)

●英国生まれのお菓子の詰め合わせであるという根拠だけで、
 ただ今とりあえずネスレ社に伝説の正誤を問い合わせ中!(事実)

というわけで、今回も
「Savoy Truffle」に関係するお菓子には
たどりつけませんでした。

残念!

以上。

…ここまで検索し続けていておマヌケなお話ですが、
お菓子の詰め合わせとされる「Good News」のサイトは山と掘り当てたのに、
肝心カナメの「Savoy Truffle」というお菓子についての情報には、
未だヒットしていません

なぜならば検索をかけるとその「曲名」自体と、同名のバンド? などなどの
情報が山ほどヒットしてしまい、お菓子の話はあったとしても
完全に埋もれてしまっているから。
う〜ん、もっと情報検索の腕を磨かないと(笑)。
「こんな情報知ってるよ」などの情報、大歓迎です!

ちなみに。
もしや歌詞のモデルになった詰め合わせか?! との疑念を抱かされた(笑)
ネスレ社の「Quality Street」ですが、小さい方の箱を購入し、
大切に大切にいただきました。もうとっくに空です(笑)。

赤、青、オレンジ色などのカラフルなフィルムと銀紙に包まれたキャンディーは、
今みたいにお店にお菓子がムチャクチャあふれてはいなかったころ(?!)に
「よそからいただいた、舶来もののキャンディー」のような、懐かしい味と香りでした。
上記の表に記したように、キャラメルとチョコレートを組み合わせたキャンディーが多かったです。
私はスーパーで見つけましたが、近所の数軒のうち1軒でしか目にしていません。稀少?!
海外の通販サイトには、英国版の「Quality Street」が並んでいるようです。


     【追記】
      個人的に忙しくなってしまい、すっかり更新ができなくなってしまったのですが、その後、新たな事実に行きあたっています。

      ・ネスレ社内には、上記商品が「ビートルズの歌のモデルになった」との説は存在しない

        ※ネスレ社の方には、質問後すぐにご丁寧なお答えをいただきました。
         本当にありがとうございます! 掲載が遅くなり、大変失礼しました。
         お忙しいところにもかかわらず、くだらない質問に
         真摯にお答えくださったことに、改めてお礼申し上げます。


      ・どうも、ジョージに関する書籍に「『サボイ・トラッフル』歌詞のモデルは
      『Good News』という菓子の詰め合わせである」類の記述があるらしい! 
      ネット上の多数の「コピペサイト」は、それを引用したものらしい(出典失念)。


        ※この「ジョージ関連書籍」以外、どうも手がかりが見つからないのですよ。
         この書籍の内容が正しいのならば、これまでの探索は大徒労(笑)。
         内容が不確かならば、ネット上の情報は(ほぼ)すべてこの書籍発信なので
         手がかりはなくなり、すべては謎のまま終わる…ということになるようです(^^;)。


 
以上、ビートルズ楽曲の本筋から激しくそれた(笑)
「お菓子を探る旅」第2弾、おわり!


<参考資料> 順不同
★『THE BEATLES SOUND BOOK vol.3-2 OFFICIAL NUMBERS 213』
   …(ビートルズ・シネ・クラブ編著、プロデュース・センター出版局発行)
★『ビートルズ全詩集』 …(シンコーミュージック発行)

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