「さぼい・とらっふる」をめぐる旅?!
アルバム『The Beatles』、通称「ホワイトアルバム」収録曲のひとつ、「Savoy
Truffle(サボイ・トラッフル)」。
作者のジョージ・ハリスンが、甘党の親友エリック・クラプトンをからかって作り、
食べていた菓子箱に書かれたお菓子の名前を歌詞に盛り込んだ、という説が、広く知られている。
実在していたお菓子ならば、それがどんなものが見てみたいなぁ…。
ネットを中心に、そのお菓子の正体を独自に探ってみました。
私はビートルズもお菓子も専門家ではないので 眉唾だし、結論もないけど(^^;)。
まずは、どんなお菓子が歌詞の中に盛り込まれているのか、自力で想像。
チョコレートアソートの箱に書かれていたという、菓子名。ポルトガル語のビートルズファンのページでわかったこと。
…本当かどうかは闇の中。
「歌詞に入っている以下の菓子名のうち、★印は実在のお菓子ではなく
ジョージ・ハリスンが名前をひねり出した(?)」
では、以下に歌詞中の菓子名(まるでダジャレだね ^^; )を列記。※青字はいずれも「研究社『新英和辞典』第四版」より引用。
●クリーム・タンジェリン
…クリームとタンジェリン(=みかん:マンダリンの一種)による何か
●モンテリマー
…フランスのヌガー?(次項に詳述)
●ジンジャー・スリング(?)
…ショウガ味の投石器(ぱちんこ)??????????
+
バイナップル・ハート
… 菓子名として正しくはpineapple「treat(=楽しみ・もてなし・喜び)」?!
http://www.recmusicbeatles.com/public/files/faqs/britguide.html サイトいわく。
根拠不明。
※「treat」ではなく「tart(=[英]果物の包まれた小型パイ)」もあり得そう?!
●カフェ・デザート
…コーヒー味の何か
●サボイ・トラッフル
…トリュフチョコレート???
(サボイ=植物の「チリメンタマナ」。または「フランス南東部の地方;もと公国」サボア)
(トラッフル=植物名「フランスしょうろ[地下に生ずる風味のよいきのこ]」=トリュフ??
「または [米] キャンデーの1種」)
★チェリー・クリーム
…サクランボとクリームによる何か(ジョージ氏創作の架空の菓子名?)(噂)
●リンゴのタルト
★ココナッツ・ファッジ
…ココナッツの入ったファッジ(ジョージ氏創作の架空の菓子名?)(噂)
(ファッジ=「砂糖・バター・牛乳・チョコレートなどで作った柔らかいキャンデー」)
英国生活にもお菓子にもまったく疎い者が英和辞典を引いただけなので、正確さには著しく欠けますが。
物の本では「チョコレート菓子」の名前、というのが定番。(噂)
でも「タルトの入ったチョコレート」? 「ヌガー入りチョコ」? ちょっと疑問。
本当はどんなお菓子だったんでしょう。
上記★印以外は実在のお菓子、というのが一般説。食べられるもんなら食べて確かめたい(^^)。
「Savoy Truffle」を口ずさんでいると、4語目にこの「montelimat」という単語が。
この歌の不思議な歌詞が実は菓子名から来ている、と知ってもなお、
この単語だけは「そんなお菓子、あるの?」と長年の疑問だった(笑)。
それが、推測の糸口が得られたんです。
フジテレビ系で放送の「あつあつボンジュール」という5分番組。
毎週フランスの食文化を紹介。
2004年7月11日(日)正午前、番組をぼんやり眺めていたらとの主旨で、ラベンダーの蜂蜜を使った名産のヌガー作りを取りあげていました。
(事実)フランスのモンテリマーという町では古くからヌガー作りが盛ん
(2004年8月現在、フジテレビサイト内に詳しい内容あり! 未リンク)
「ヌガーの名産地@フランス」の名前だったんだ〜!
ちなみにヌガーって、卵白やら蜂蜜やらを混ぜ、アーモンドなどのナッツを入れ型に流して一口サイズに切った、白いお菓子。フランスでは「ヌガー・ド・モンテリマー」と言われるくらい、ヌガーといえばモンテリマーということになっているらしい(同番組より)。
ならば英国でも、ヌガーのことを「montelimat」と呼ぶこともあったのではないでしょうか?
クラプトンが食べていたのは、実際この「モンテリマー」町のヌガーを使ったお菓子だった?! とかね。…と推測。
あくまでも推測です。
テレビで見て連想したというだけで、「確かにそうである」と実証できる資料にはヒットしていません。
でも珍しい単語だし どちらもお菓子の話だし、無縁ではなさそう…。さて、では「チョコレートの箱」の存在自体について調べてみましょう。
目標は「ネット上での画像確認」。どんなお菓子がモデルになっているのか。
もちろん、今でも入手できるのなら、是非食べてみたいところ…。調べたところ、
(噂)歌詞中の「Good News」は「チョコレートのセレクションボックス」の名称だ
http://www.songmeanings.net/lyric.php?lid=931(英語のBBSより:真偽のほどは定かでない…)
念のため日本語サイトでも調べてみた。ここまでは他のサイトにも同様に掲載されている。
さらに踏み込もう。この「Good News」は今でも生産されているのでしょうか?この「Good News」という商品を生産している会社を引き続き検索。
…と、ビートルズファンサイトで、こんな情報を入手。キャンディーなの?? チョコレートじゃなく?
(噂)「Good News was the name of a candy assortment made
by Rowntrees」
(C)BRITGUIDE---an introduction to Britishisms in the Beatles' Lyrics
(噂)とにかく「Good News」アソートボックスは「Rowntrees」という会社で作られたらしい
…これは手がかり?! ビートルズファンのページでしかヒットしないから、
「単なる噂・伝説(=事実と実証されていない内容)」の可能性もあるけど…。
この会社の公式ホームページが見つかれば、ひょっとして入手できるかも?!
…そう簡単にはいきませんでした(^_^;)。
まず、公式ホームページ自体が見つからない。「Rowntrees」でイメージ検索すると、
・女の子のイラスト付きの菓子箱の画像が多くヒット。「古き良き時代」的な古いイラスト。
・アンティーク売買のページに、チョコレートのショウケースが売りに出ているのを発見。
・「錫製品」のアンティークショップでも、1930年代の Rowntrees 社の
チョコレート缶が数千円で売りに出されている(誰が買うんだろう??)。
さらに海外の "甘いもの" ネットショップ(?!)をいくつも回って、やっとわかった「Rowntrees」社の現状。
現在のラインナップについては
・「Nestle & Rowntrees」という表記がやたらと目につく
・「Rowntrees」社製のちっちゃなフルーツ系菓子…例えば日本にもある、
銀紙に円柱状に包まれた商品で100円くらいで売ってる、清涼キャンディーに
似たようなもの…は見受けられる以下が現在流通している商品名。
●Rowntrees Fruit Gums
●Rowntrees Fruit Pastilles
●Rowntrees Jelly Tots
●Rowntrees Fruit Jambos...
「Online Catalogue:Sweets, Confectionary, Candy」ページ
で見られます(かなり画像が重い、ネットショップ)。
…「Savoy Truffle」を作っていた「Rowntrees」社は、いまはどうやら
チョコレートを作っていない風、だなぁ。(推測)
スイーツ「Savoy Truffle」は、いまでも見られるか…を調べるはずが、どんどん遠回り(笑)。
過去に作っていた、という事実を求めて「Rowntrees」「history」という単語で検索したら、
「Dunkans」という菓子会社の歴史ページ、何やら歴史読み物のページなど、いくつかヒット。
それらと前項をまとめると
・(事実)「Rowntrees」社は、イングランドでは歴史のある大手チョコレート会社。けど、
・(推測)2004年現在はチョコレートよりキャンディーが主力?! そのうえ
・(事実)少なくともネットショップでは「Good News」およびチョコレート商品は見られず
と言えましょう。関係者の皆さん、違ったら本当にごめんなさい!
「Rowntrees」社、日本では「ロントリー」社と呼ばれていることが判明。
それで検索、「ロントリー」社の歴史が少し見えてきた。
・1785年…「イギリス、ロントリー社の初代チョコレート業創始」
(「チョコレート・ココア歴史年表」より引用)・1969年…マッキントッシュ社は英国ヨーク州のロントリー社と合併して「Rowntree-Mackintosh PLC」に
(C)http://www.halifax-today.co.uk/specialfeatures/triviatrail/m.html 【04/08/06 追記】・1972年…日本の製菓会社不二家が「英国ロントリーマッキントッシュ社と技術援助契約を締結」
(「不二家の歴史」より引用))・1973年…ロントリーマッキントッシュ社は「『キットカット』を日本国内で生産・販売を開始」
(C)http://www.tokikawa.ne.jp/net_jam/cgi-bin/09_05.html同年「POLO[不二家] <おとな向けの錠菓。英国のロントリー・マッキントッシュ社から輸入>」
(「FUKUSHI'sWeb Page> ザ・20世紀」より引用)・1988年…「世界第一位の食品メーカーであるネッスルが
(中略、ロントリーマッキントッシュ社を)傘下に納める」・1989年…ロントリーマッキントッシュ社は「不二家との合弁によりネスレマッキントッシュを設立する」
(C)http://www.tokikawa.ne.jp/net_jam/cgi-bin/09_05.html
…あれれ、やけに身近な名前が。「キットカット」とか「POLO」とか「不二家」とか。
そう言われてみれば、小さい頃「キットカット」のCMはスコットランドヤードの衛兵が出てて、
会社は「マッキントッシュ」社だった気がする。(パソコンの「マッキントッシュ」とは まったく別モノ)
上記を元にもう一度整理すると、「Savoy Truffle」を作っていたと思われる
「ロントリー」というチョコレート会社は、
1785年、イングランド・ヨーク州に発祥、規模を拡大。
1927年、スコットランドの「ダンカン社」を吸収し、
【04/08/06 追記】
1969年、合併で「ロントリーマッキントッシュ社( Rowntree-Mackintosh PLC)」になり
その後ネッスル社の傘下に入り、最終的には
1989年、不二家と合弁の「ネスレマッキントッシュ社」になった…のかな?
で、海外では「Nestle & Rowntrees Products」として
POLOみたいな「おとな向けの錠菓」に名前が残っているみたいなのですね、どうやら。
【さらに…】2004年現在、日本での「キットカット」販売元になっている、
「ネスレ コンフェクショナリー株式会社 NK」のサイトに寄り道ネスレグループって大きいのね。1866年にスイスで設立されて以来、有名どころを次々買収。
1988(昭和63)(中略)イギリスのロントリー(チョコレート、菓子)を買収。
(http://www.nestle.co.jp/japan/history/world.html より引用)
「マギー(ブイヨン)、ロレアル(化粧品)、ブイトーニ(パスタ)、ペリエ(ミネラルウォーター)…」
などなど、知っている(意外な)名前がどんどん出てくる。そんな大グループの吸収合併の歴史に、
「ロントリー」のチョコレートは埋もれてしまったようです…
あくまでも菓子「Savoy Truffle」の現状にたどり着きたいがための調査なのであります(^^;)。が…
「Savoy Truffle」実物には たどり着けませんでした(^^;)。
どうやら実際に作っていた(と思われる)「Rowntrees」社は
ネット上で見る限り「ネスレ」関係に吸収され、2004年現在は
「フルーツ系格安清涼菓子」に名を残すのみ、になってしまった(推測)みたいだし…。ということで、クラプトンが平らげた(?)というお菓子の詰め合わせボックスには、
ついに(ネット上の画像にさえ)お目にかかれぬまま。
もし確実に実在していたものなら、熱烈なジョージファンが当時の実物(の箱)を持っていて
ネット上に画像があってもおかしくない…と予想していたんだけど。あてがはずれた。
「実在していた」証拠は何一つ得られぬまま、チョコレート会社の歴史にちょっぴり詳しくなっただけ(笑)。
THE BEATLES ・通称『ホワイトアルバム』の曲
「Savoy Truffle」で歌われた菓子について…●この曲の歌詞は「クラプトンが食べていたチョコレート詰め合わせの箱に
書かれていた菓子名にヒントを得た」というのが一般的な定説
→ キャンディーの詰め合わせだった可能性もある(推測)●歌詞のうち「モンテリマー」は多分フランス名産のヌガーのこと?!(推測)
●(噂)「チェリー・クリーム」「ココナッツ・ファッジ」は
実在しなかったとの説あり●(噂)歌詞中の「Good News」は、このお菓子の詰め合わせの名前らしい
●(噂)「Good News」詰め合わせボックスは英国の菓子会社
「Rowntrees(ロントリー)」社が作っていた?!
●「Rowntrees(ロントリー)」社は古くはチョコレートで有名な会社であったが、
現在ではネスレグループの傘下に名を残しキャンディーを生産?!
→ 2004年現在、お菓子の詰め合わせ「Good News」は
生産されていない可能性が極めて高い(推測)
=「入手不可」かぁ……残念!
もし万一新しい事実が判明したら、追記することにいたしましょう。
でも新しい切り口を見つけないと、これ以上の事実にヒットする可能性は低そうだなぁ…。これだけ「Rowntrees」社のことを調べといて、拠り所としている
これらの情報の裏付けがとれていない。ここが間違っていたら、ちょっとショックだなぁ(笑)。
(噂)お菓子の詰め合わせの名前は「Good News」である
(噂)「Good News」を作っていた会社は「Rowntrees」社である
ビートルズファンサイト以外で「Good News」という詰め合わせについて
書かれたサイトを見つけられなかった。
だからビートルズファンの間で「古くから言われている伝説」をなぞっただけになっているかも(^^;)。
そのくらい不確かな情報で構成されている、と思って読んでいただけたら幸いです(^^;)。
<参考資料> 順不同
★『THE BEATLES SOUND BOOK vol.3-2 OFFICIAL NUMBERS 213』
…(ビートルズ・シネ・クラブ編著、プロデュース・センター出版局発行)
★『ビートルズ全詩集』 …(シンコーミュージック発行)