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「これが私の生きる道」
  詳細解説

曲調はそれっぽくないのに、細かいところでビートルズ フレーズ、てんこ盛り!!  
明らかにそれとわかるフレーズをワザと引用、ビートルズへの深い愛と遊び心が感じられます。
ぜひ、元ネタと聴き比べて大笑いしてみてほしいところ(笑)。
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歌が始まってからのバックの手拍子
=「I Want To Hold Your Hand 」(『THE BEATLES 1962〜1966(赤盤)』)

Aメロのギターのアルペジオ
=「I'm A Loser」(『BEATLES FOR SALE』)
「なんとなくそれっぽい」レベル、ハッキリ引用ではないけど。
「I'm A Loser」って、初期ユニコーンの曲のタイトルでもありますね。全然似てないけど。

 
歌が始まって5小節目以降、バックのギターの ♪ンキャ ンキャ♪
=「That's Means A Lot」(『ULTRA RARE TRAX vol.2』)
初期のビートルズのギターは、よく ♪ンキャンキャ♪ って鳴ってるんですが、
特にこの曲にリズム・音色が似ています。
ちなみにこの曲は、非公式録音曲、海賊版などによく入っていた曲です。

同、バックのドラムのリズム
=「Ticket To Ride」(『HELP!』)
気がつかなかったんだけど、同曲に特徴的な ♪ンッタ、ンンタッッタッ♪ ってリズムが。
一瞬現れています。

同8小節目の「ね〜」にかぶるドラムのフィルイン
=「Please Please Me」(『Please Please Me』)
♪テ〜ンドコドコ/テ〜ンドコドコ♪ って感じのリズムが、似てなくもない。

Aメロ終わりのちょっと前、歌のバックのリードギターの下降音
=「It Won't Be Long」(『WITH THE BEATLES』)
太い音色もそっくりそのまま、同曲のリフを引用(終わりがちょっぴり短縮してあるけど)。
それにしても、かなりマイナーどころを…。

「●●感じ」の直前の、高音リードギター
=「?」(『?』)
印象的なフレーズが、ビートルズにもありそうな気がしたんだけど、具体的に思い当たらず。
ただ、ジョージが弾きそうな雰囲気を醸し出しては います。

「●●感じ」とかぶるコーラス「をーをーをぅっ」
=「I'm Happy Just Dance With You」(『A HARD DAY'S NIGHT』)
高音で若々しい歌い方、とても似せています。

「●●感じ」とかぶるドラム
=「?」(『?』)
どう説明したらいいかわからないのですが、♪ンッテケ ンッテケ ンッテケトコドン♪ 
というノリがビートルズくさい、です。

「●●感じ」直後のリードギターのフレーズ
=「Day Tripper」(『THE BEATLES 1962〜1966(赤盤)』)
同曲の印象的なイントロを、敢えてパクっています(笑)。

サビのバックのコーラス「うーわんらんら」
=「You Won't See Me 」(『RUBBER SOUL』)

Bメロのフレーズ1回目終わりごろ、
 バックのギターフレーズの下降と「ピーン」というハーモニクス

=「Nowhere Man」(『RUBBER SOUL』『THE BEATLES 1962〜1966(赤盤)』)
これには笑いました。ビートルズの名曲中の名曲の、大胆なパロディーです。音階はワザと変えて。

間奏ハーモニカ
=「Please Please Me」「Love Me Do」ほか(『PLEASE PLEASE ME』)
バンドにハーモニカっていうのは、別にビートルズ固有のスタイルではないのでしょうが、
個人的にイメージが強く刷り込まれてまして。ビートルズ初期の代表的なスタイルのひとつ、です。

間奏終わりのギターフレーズ
=「Please Please Me」(『Please Please Me』)
同曲の歌い出しのフレーズを、これまた大胆に引用

2回目のサビ後「あ〜あ〜あ〜あ〜」と和音を重ねるコーラス
=「Twist & Shout」(『Please Please Me』)

♪●●●●先も〜♪ 直後のコーラス「いえーいえー」
=「She Loves You」(『THE BEATLES 1962〜1966(赤盤)』)
「いえーいえー」といえば「She Loves You」(笑)。

「それでは」以降の独特のアクセント
=「No Reply」(『BEATLES FOR SALE』)
伴奏にシンコペーションのリズムとコード進行を引用してあり(キーは移調してるけど)、
PUFFYに合わせて「No Reply」のエンディングがそのまま歌える(笑)。

終わりのコード
=「She Loves You」
ビートルズで印象的な、6thのコード。

この「パロディ」における決定的な「アイロニックな差異」とは、PUFFYが「自作自演」を行う「ミュージシャン」ではなく、プロデューサーがつくった楽曲を(しかもシャレで作られた歌詞で)歌う「アイドル歌手」である点にある。この曲において、ヴォーカル以外の楽曲が「ビートルズそのままの模倣」であることがその「差異」を逆に強調するのである。その差異は「かつてアイドルだった4人」であるビートルズの、現在における過度の「神話化」「物語化」を俯瞰し、皮肉な距離でもってそれを見つめる作編曲者奥田民生の視線を想起させる。更に、その「アイドル」による「あからさまな模倣」は、姑息に細部においてビートルズの意匠を借り続ける数々の「アーティスト」に対するアンチテーゼとしても働く。「あからさまな模倣」は「姑息な引用・模倣」を嘲笑し、皮肉な距離をもってそれを見つめるのだ。(中略)
パロディ的な視線の他に楽曲から流れてくるのは、作編曲者、そして演奏者のビートルズに対する偏愛ぶりである。彼らは、偏愛はするが、「神話化」は決してしようとしない。結果、彼らが行うのはビートルズの物語を奉る聴衆を「ビートルズ」の作った「音そのもの」に返す作業とでも言うべきものなのである。例えば「<これが私の生きる道>にビートルズがいくつ詰っているか、当てっこするのはゲームとして楽しいものです。」と佐藤良明は述べているが、(中略)このような「引用的探索」に聴き手の多くを誘っていることが、「パロディ」としての《これが私の生きる道》の最大の効果とも言えるだろう。(後略)
<パクリ>をめぐる論考〜1980年代以降の日本のポピュラーミュージックにおける
パクリの研究(2003年)
」(III-4より引用)


おしまい!

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